カノン金物店 7

館長 風屋のリオン

さあ、小象童話館のオープンです。館長は「風屋のリオン」。風屋とは聞きなれない仕事ですが、吹きすぎる風の中から透き通った鳥を捕らえる仕事。鳥の代わりに不思議な物語を捕まえてお話しましょう。

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 「カノンさんですね。」 男は店にプルトハイを買いに来た時と同じような、おだやかな口調で言いました。カノンはこれから何をされるのか、不安なまま、かすかにうなずきました。 「先程は、仲間が手荒なまねをして申し訳ありませんでした。我々には敵もいますので、私の後をつけてくるものを、そのままにはできなかったのです。」 そう説明する男の緑の瞳がとても悲しげに見えました。

 カノンはいくらかほっとしました。その男の様子には、少なくとも殺意はなかったからです。 「やっと、さがしだしたプルトハイの使いみちが知りたかっただけなんです。」 カノンは必死になって言いました。 男は笑顔を見せてうなずきました。 「我々は、今日のこのチャンスを実に36年間待ちつづけてきたんです。星と人のめぐり合わせがそろうのに、それだけの時間がかかりました。そして、我々には、ぜひともあのプルトハイが必要だったのです。」

 男の言葉には、やはりどこかに外国のなまりが残っていました。「我々は、今度こそ、悲願を果たしたい。だから、たとえこのプルトハイをこんなに長く守りつづけてくれたあなたでも、部外者を我々の席に加えることはできないのです。どうぞここから見てください。これがせめてもの我々のお礼の印だと思ってください。」 男は、言葉を切り、強い視線でカノンをじっと見つめました。 「そして、ここで起こることのすべてを見届けてほしいのです。」 そうカノンに言った後、男の顔になぜかまた悲しげな表情が浮かびました。  カノンは男の様子に、激しく胸を打たれ、何度もうなずきました。  窓を少し開けると、まるでその部屋の中にいるように、人々のざわめきが聞こえて来ました。(つづく)

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男は手荒に扱ったことをカノンに侘び、ここで見届けていてくださいと言った

— posted by 風屋のリオン at 06:38 am  

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